王子様はご主人様!?


ケーキを食べ始めて約30分……


「もうお腹いっぱい……」



「そりゃあ、そうだろね。あんだけ食べれば……」


「だって!……うぷっ」


もう食べれないし、話せないよ……



「美味しかった?」


ニコッと笑ってそう見つめる蒼依くん



――ドキッ


「べ、別に……」


な、何よっ!今のドキッって!!



「も、もう出る…「花梨、待てって…」


……え


耳に届いた優しい声



ゆっくりと視界を右に移した


「……っ」


そこには楽しそうに手を繋いで、席を探しているお兄ちゃんと花梨さん


窓際のあたしたちからちょっと離れたテーブルに座ったお兄ちゃんたち


あたしたちには全く気づいてない。



「ここね〜、ケーキが凄く美味しいんだよ」


楽しそうに話す花梨さん



「ハイハイ。何度も聞いたから。早く注文しろよ」


「ぶぅ―…」



ぶっきらぼうな言い方だけど、お兄ちゃんのその言葉には愛を感じた


ねぇ、お兄ちゃん。


甘いモノ嫌いなんだよね……?



あたしがいくら行きたがっても「甘いの見るだけで気分悪くなる」って言って、拒否したでしょ?



でも、花梨さんとなら別なんだね……?


嫌いなモノだけど、花梨さんの為なら、どうってことないんだ?




優しい瞳で、愛しそうに花梨さんをみつめるお兄ちゃん



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