殺人予告

序章

治療も順調に進んでいるように見えた7月中旬。
夕方の買い物帰りにポストに封筒が入っていた。


郵便切手すら貼られていないその封筒を部屋に帰って封を開けて驚いた。

そこには紙が一枚と髪の毛が一本


「こ  ろ   す」

と、黒のボールペンで書かれていた。
背筋が凍りつくような感覚が走る。
と同時に平静を取り戻し、何かのいたづらに違いないと思い、丸めて屑篭に捨ててしまった。

そうだ。いたづらに違いない。絶対そうだ。
俺は殺されるような覚えは無いし、東京の貧乏学生を殺して何になるんだ。
そうだ。


< 24 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop