始まり

人 人 人

それでごったがえしている。
これが、東京かあ。しみじみ思う。今まで非現実だった世界に自分がいる。テレビの中の世界に自分がいる。
すげえ!!
これが、東京。


俺はキャリーバッグを片手に新宿駅の構内を歩きまわる。京王線の乗り場を探していたのだ。
俺の下宿は、今いる新宿から40分程離れた場所にある。
全く噂には聞いていたが、迷路のような駅だな。

つくづく思う。自分の田舎では駅員さんが未だにスタンプを券に点いているというのに東京じゃ、自動改札はおろか、パスモやスイカのような電子マネーで電車に乗っているではないか。
やはり、東京は違うと感じた。

ここでなら、自分の求めていたものが見つかるのかも知れない。

京王線の乗り場は、案外簡単に見つかった。
俺は切符を買い、急行に飛び乗った。

東京。とは言ったものの都会なのは都心部だけで後は、見渡す限りの住宅街だった。そこは、自分の予想と大きく違った所で自分が住む予定の学生マンションも案外普通だった。
ただ隣に、梨畑があった事は鮮明に覚えている。

下宿して数日が経つと大学の入学式という盛大なイベントがあったのだが、学校行事が嫌いだった俺は、大学生になってもこの手の行事は苦手でサボってしまった。

正直、俺は自由を愛していた。何事にも束縛されたくない自分がいた。


大学もあっというまに始まり、俺は絶望した。
大学も高校と何も変わりはしなかったから。

いつまで経っても同じ事だらけだった。

グループを作って和気藹々と同じ事を繰り返す。

くだらない。
くだらない。
くだらない。
くだらない。









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