自殺

俺が精神世界に入り浸るようになったあの頃から一ヶ月が過ぎ、8月も夏の盛りになっていた。

俺は、パニック障害の治療の為、相変わらず電車に乗る訓練を繰り返していた。


俺の世界は崩壊寸前だった。それぞれの人格が自我を持ち、頭はその許容量に耐えかねていた。


そんな日の夜、黒は精神世界に俺を呼んだ。

「なあ、雄亮。」

何だ?

「俺も体が欲しかったよ。今まで住まわせてくれてありがとな。」

まさか。

「さよならだ。俺は消える。今のお前なら大丈夫だろ。」


漆黒の闇に彼が透明に消え、光が足場から所々噴出してくる。



待ってくれ。


俺は、黒に何もしてやれてない。


待ってくれ。





待ってくれ。





気がつくとベッドに横たわる自分がいた。
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