学園スパイラル~夢と希望と正義とバカと~
 
 それならば、向かい合う事も出来るはずだろう。ましてや、外見から察するに喧嘩慣れしているような風体じゃない。そこら辺にいるただの一般人だ。

 なのに、何故か勝てない気がした。完全に相手の気迫に圧(お)されている。

「いたぞ!」

「うわっ!?」

 正面にいた男二人にも指を差されて思わず左に曲がる。

「ど、どういうことなんだ?」

「俺が知るかよ!」

 チノパンを履いた男が走りながら問いかけるが、隼人にだって解らない。こんな謎めいた追いかけっこなんて冗談じゃない。

「こっちにいたぞ!」

「い゛!?」

 追いかける集団がさらに仲間を呼んでいる。どんどん数が増えているのは気のせいじゃない。
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