社長のご指名 *番外編Ⅲ*
続く言葉を聞きたくなかった。





「二度とそんなこと言わないでくれ………。」





娘を庇えなかった俺が言う台詞じゃないのかもしれないが、俺は紗衣を他人だとは思った事はない。




付き合ってる時だって、娘のように思ってた。





「章菜、好きなだけ怒ってくれていい。好きなだけ罵ってくれていい………けど、もう一度だけ俺を信じて欲しい。章菜に嫌われたら、もう生きていけない。」





章菜と会えた事は人生で一番幸せな事で、章菜と結婚出来たから紗衣と鈴という宝物も出来た。





けど、安心なんて感じなくて些細な事ですぐ不安になる。





海外にいる間は会えないから、電話しかできないが口説かれてないか告白されてないかとか、そんな事を思いだしたらキリがない。





俺の幸せと宝物は絶対誰にも渡したくないんだ。




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