純情オオカミ







「本当によく食べるんだねー!亜緒ちん!」

「え、…ハイ」

「いつもみてるけどやっぱ完食…」

「えへへー!おなかいっぱい!」


私はお腹をポンッと叩く。


「じゃあそろそろ出ようか」


瑠衣が机の伝票をひょいっと
取り出して快斗くんの前に置いた。


「え、瑠衣ちゃん何コレ」

「伝票」

「それは分かるよ俺バカじゃないもん!」

「バカ、払えって事でしょ」

「えー!!最近バイトクビになって…」

「自業自得」


にっこり笑う瑠衣に対して
マジで無理と連発する快斗くん。

なんかおもしろい…


「「本当に2人仲良い…」」


私は途中で話すのを止めて
ハルくんの方をぱっと見る。


するとハルくんも
こっちを向いている。


「…今、同じこと言おうと…?」

「…はもった、な」


ハルくんは照れくさそうに
髪をかきあげながらはにかむ。


「…そ…うですね」


笑いたいのにうまく笑えない。
こんなんじゃ相手に失礼だよね…。


「おっしゃ払ってやるよ!!」


私の隣で繰り広げられていた
勝負は結局、快斗くんが負けて終了。


「やったー!快斗かっこいー」

「そうだろ!?もっと褒めてくれ!」


…あ、食べてたの私だけじゃん!!!


「かっ快斗くん私が払うからいいよ!」


私は慌てて快斗くんに駆け寄る。


「いいよいいよ!
亜緒ちゃんとの親睦会でしょ」

「でも私しか食べてないのに…
たくさん食べちゃったのに…」

「そんなの気にしなーい!
瑠衣の親友だから問題なし」


ニコッと笑って快斗くんは
レジにてくてくと向かっていった。







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