ウラコイ2 銀幕の旦那様



小さい頃から母親はいなかった



疑問は持った
聞いたら 父は言っていた

病気で亡くなった。もういないんだ…と



もういないという事がよく分からなかった…



父がいて
おれがいてなのに母だけがいない…



なんでいないんだ?


疑問は消えなかった









けど答えはすぐ出た



母の法事に来た親戚が親父に言ったことを聞いたのだ




『あんたが瞳を殺した。あんただけじゃない、あんたの子供も同罪だ、瞳はあんな身体だったなのに…』



親父はすいませんでしたと頭を下げる




意味が分からなかった

おれのせい… 父のせい…?





頭を下げる父だけが全部を知っている




分からなかったがそれだけは確信した…






法事以来


おれは母の亡くなった理由は
聞かないようにしようと思った


なにか事情があるのだ

余計な質問はしないようにしよう




父を困らせたくなかった
なにより父のあんな姿みたくなかった






おれの父親はあんな簡単に
人に頭を下げる人間じゃない






父は…立派な人間なのだ

自分なりに父を守ろうとしていたのかもしれない…



ただ一人の親
自分を愛してくれる人



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