Happy birthday

「予定調和的な発言は俺のプライドが許さない」

 だいたいそんなバカップルみたいな事、言えるか。

「とにかく、こんなんじゃ外を出歩けねーぞ。どうしてくれる」

「脱いで乾かしとけばいいよ。わたしは別に構わないよ?」

 そんな、まいっちんぐな事を言わないでください。
 
「下半身パンツ一枚でいたら、俺の野生が目覚めるけどいいのか?」

「いいよ~。どうぞ、ご自由に~」

 都合のいいことに、現在岸田家には俺と美琴しかいなかった。

 だとしたら、やることは決まっていた。






 夕方。俺はクリスマスのイルミネーションが目に痛い、商店街を歩いていた。

 数々の花の匂いと美琴の匂いが、残り香のように残る中、俺は考えていた。

 いろいろと。

 行為の最中の美琴は、なぜか寂しそうな顔をしていた。

 なぜだろう。

 前と比べると、かなり痩せたような気がする。

 入院したばっかりの病み上がりだしな。

 なんとなく、胸も縮んでいたような気がする。

 これは、非常に困る。

 あと、非常に重要な事がある。

 俺、避妊してないぞ?

 ていうか、中で出しちゃったぞ。

 よかったのだろうか。

 美琴はなにを考えて、いるんだろう。

 まあ、万が一の事があったら、責任取るしかないか。

 あ。

 ………………。

 俺は馬鹿か。

 忘れていた。

 取り返しのつかない過ちを犯すところだった。

 今日は……

 美琴の誕生日じゃないか。
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