愛してるさえ、下手だった


腕の中で震える満希に、俺はできるだけやわらかい声で告げる。

「満希。俺、ちょっと出てくる」

「え…」

一気に満希の顔が青ざめる。
独りになりたくないと、無言で訴えかけてくるのが嫌というほどわかった。

「すぐ戻るから」

本当にすぐ戻るから。
念を押すように言うと、満希は渋々俺から体を離した。

その頭をそっとなでて、俺は部屋を出る。


俺には行きたい所があった。

この前満希の彼氏を殺す依頼と一緒に受けた依頼の現場だ。


もう殺し屋なんて重荷を背負うつもりはなかったけれど、俺にはどうしてもそこに行かなければならない理由があった。



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