恋の教習所
残りの時間はというと・・・。

終わってからの楽しみ、そして今度はミスをしないようにと気持ちからなんだかあっという間に時間は過ぎていった気がする。

山本教官にお礼を言って、車に鍵をかける。

私たちの教養時間はこれでお終い。

事務所に戻って片付けをしていたら

「もう帰るの?」

谷川教官に話しかけられた。

手には学科の教本と教習原簿に押す、自分の名前が入ったハンコがある。

定時で退社、じゃないんだ。

まだ授業があるんだな。

「はい。お先に失礼します。谷川教官はこれからまた学科ですか?」

なんとか会話をしてみようと言葉を繋げてみた。

「そうだよ。聞いて帰るー?」

なんて言って笑っている。


どうせ・・・。

「聞きたいって言っても、どーせだめって言うんじゃないんですか?」

断られるに決まっている。

「一ノ瀬さんが是非にって言うなら、聞かせてあげたんだけどなー。」


またすぐそんなこと言って。

私、期待してしまう。

そんな一言でも嬉しいんだ。


「ほんとですか?!じゃあ、明日是非お願いします!!」

「オレは今日の事言ってるんだよ。明日じゃダメー。あぁ~あ、一ノ瀬さんに断られたから一人で行くよ。」


えぇぇぇーーー??!

「だって今日はもう時間来ちゃったし・・・。明日お願いしますよー。」

そう、もう定時になっている。

・・・私は帰る時間だから。

「知ってるって。このまま残らせたら所長に言われるもんな。」

そうそう、そうです。

だから明日って私は言ったのに。


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