夜色オオカミ
『あたしはそれは嫌なの…っ
祈咲の身代わりに生きたくなんてない……!!
望まない…。
あたしは…祈咲も大切…
だから、白百合の気持ちがわかる。
大好きな人に大嫌いと言ったツラい気持ち…。
あたしは紫月にそれを言いたくない。
愛してると言って……消えたい……。』
『………っ!』
泣いているような声だった。
双子として繋がっているからなのか…痛い程の切ない気持ちがあたしの中に流れ込む…。
『どうか…、16年前の悲劇だけは繰り返させないで…。
紫月を…助けて…!
お願い…お願い…
あの人の幸せだけが…望みなの…!!』
『心花……!!』
抱き締めてあげたかった。
手を伸ばして、
きつく…きつく…
自分の姿さえもわからないここではあたしの腕はただ空を掻くだけで…
…心花に届くことは、なかった……。
神様…
もし、あなたがいるのなら…
どうかお願いします…。
あたし、あの子のために何だってするから
心花を…幸せにしたいんです。