夜色オオカミ
紫月さんから瞳をそらしながら、また十夜の手をきつく握りしめた。
ぐっと唇も噛み締める。
あたしには特別な力なんてない。
何が正しいかなんてさっぱりわからない。
そんなあたしの……直感…。
硬く瞳を閉じた十夜の顔を見つめた。
――――『俺達の誇るべき力』
十夜はいつもそう言ってたね…。
頬にそっと指を添えた。
温もりの薄くなった肌に胸が詰まる…。
そして
もう一度、ぐっと顔をあげて紫月さんの瞳を見つめた。
変わらず真っ直ぐにそらすことなく見つめ返す紫色の瞳に
…心を、決めた。