夜色オオカミ




どの本も普通の高校生の読むような軽いものじゃない。



それを十夜は全部読んでるんだ。



「俺は、真神の跡取りだからな…。」



「………!」



十夜は静かに話し始めた。



「俺の親父じゃなくて、じいさんが今だに当主なのは何でだと思う?」



それはあたしもずっと不思議に思ってた事だった。



十夜には、ちゃんとお父さんがいるのに…



お父さんじゃなくて、十夜が次期後継者なのはどうして…?






「親父はアルビノだから…」



「アルビノ……?」



よく解らない答えにあたしはつぶやいた。



「親父の髪の色見ただろう…?瞳も……」



「うん…。」



十夜のお父さんの髪は綺麗な白髪で…瞳は珍しい赤だった。



「親父は白い狼なんだ。色素が欠落した…。

…アルビノは当主にはなれねぇから。」



「どうして…」



「俺達の力の優劣はどういう訳か毛色によるんだ。

黒に近いほど……強い。

…親父の力は無いに等しい。」



「……!!」



「伯父もそうだ。

アルビノじゃあねぇけど、白に近い灰色で…同じくらい当主には向かない。」



伯父さんって言うのは灰斗のお父さん…。



十夜のお祖父さんの息子達には、力が強い人がいないんだ。








< 99 / 472 >

この作品をシェア

pagetop