桜が散るように ー 新撰組 ー



川瀬家のことも
芳野のことも

何より、自分のことも知らない。


「知らないままは、嫌です。私は…私自身を知りたいです」


今、迷子になっている子供の心境だ。

自分が今立っている場所が分からない。
戻る場所が分からない。


「自分の今の状態を、自分の情報を、知らなきゃ、私はたぶん、『私』がわからなくなってしまう。それは、嫌です。知らないままは、嫌です」

「………あー」


土方は綺麗にまとめられていた髪を手でガシガシと乱す。

そして、ふーっと息を吐いて


「やってみろ。危険じゃない程度にな」


そう言って、呆れたように、でも受け入れるように微笑んだ。


「…、はい!」

「山崎、お前が調べたことも教えてやれ」

「…御意」


土方に一度、頭を下げた。
それから、布団をしいて寝ることになった。



それが、今朝の出来事。



*********


目を、瞑る。
手から消えない、人を斬る感触。
あの肉を斬る際の、弾力の生々しさ。


眠れない。


赤。それの臭いがする。
血の、臭いが。



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