桜が散るように ー 新撰組 ー



資料に書いてあった内容はこうだった。


川瀬家があった村は、川瀬家の分家や親戚が住んでいた。

皆、忍で、謂わば忍の村。


忍として雇われ、それで稼いだ金を糧としていた。


ある日、川瀬家が滅ぼした公家の者が、恨みを晴らそうと、何万という兵を引き連れて村を襲った。

村に住んでいたのはせいぜい数百。

対抗出来るはずもなく、滅ぼされた。




「これが、今から十三年前の話だ」

「……そう、ですか」


川瀬家はそうして滅んだのか、と。

桜は受け止めた。


「川瀬家って、結構凄かったんですかね?」

「その筋では有名だったと聞いている」


そうですか、と一言返して、桜は俯いた。


「だから、鍛えられたんですね、私は。争いが無い世でも、前の人達の術を伝えるために」

「……お前の両親は、村を滅ぼされたことをお前に言わなかったのか」


その言葉に、桜は微笑む。





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