桜が散るように ー 新撰組 ー



そして二回目の時は

車道に出たのは桜のせいじゃなかった。

背中を、押されたのだ。

押したのは
芳野、だった。


そして、桜を庇い、両親は亡くなった。



すべて思い出したその時


「ぐっ…!」


苦しみ呻く声。


「芳野……ヨシ兄ちゃん!」


倒れ込む芳野に駆け寄ると、脇腹から血がとめどなく流れていた。

明らかに致命傷だ。


吉田を見ると、息は乱れているが、傷はない。

芳野を倒し、ホッとしていた吉田の背後に真っ黒な影。


――キィーン!!


投げつけられたクナイを吉田は刀で凪ぎ払う。

クナイを投げたのは


「山崎さ、ん…」


忍装束を身に纏った山崎だった。


「今しがた、副長に本命が此方だと伝えてきた。…無事か?」

「私は。でも…」

「……川瀬芳野。やられたのか」


山崎がそう言うと、芳野は弱々しく笑った。

山崎は吉田に向き直り


「お前の相手は俺がしよう」

「わー、なんかイラッとした」


二人の戦闘が始まった。



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