桜が散るように ー 新撰組 ー



「えっ」


(まさかお父さんたちのこと?)


「な、なんて…」

「あー?そうだな…『もう食べられない』とか言ってたぞ」

「……は?」


桜は目を点にする。


「え、それ、嘘ですよね」

「お前もベタな寝言言うんだな。まぁ食べてる時に寝ちまったから、夢で食ってたんだろ」

「えっ、本当なんですか!?」

「嘘だ」

「ですよねー!」

「というのが嘘だ」

「…、どっちなんですかぁ!?」


もし本当なら、とんでもない失態を土方に見せたことになる。

桜は、「訊かなきゃ良かった…」と後悔した。


逆に、土方は少し清々しい顔をしている。

どうやら寝不足から来るイライラを、桜に八つ当たりしたようだ。




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