いちごいちえ

絡指





いつの間にか、テレビから音声は消え、一番始めである選択画面へと変わっていた。



一体どれくらい、私は瑠衣斗の腕の中に居るのだろう。


でもきっと、時間にすればそう長くはない。



ぼんやりとする頭で、そんな事を考えていた。



「なに?眠いのか」



胸から響く甘く低い声に、擦り寄せた頬に熱が集まる。


広い背中に手を伸ばしたまま、服を握り込み頭を横に小さく振った。



規則正しい胸の鼓動に、微睡んできてはいたが、意識をハッキリとさせるようにして瞬きを繰り返す。


瑠衣斗が優しく髪を撫でる大きな手が、何よりも心地良い。




「なあもも…一応な?俺、永久的に待て状態なワケな?」



「へ…?…永久的?待て?」



突然、何を言いだしたかと思ったら、何とも突然の場面変更に首を傾げた。


でもすぐに言われた意味を理解すると、体が正直に硬直する。



「おあずけくらったまま……。暴走させてえの?」



そんな言葉に弾かれるように、思い切り頭を横に振る。


恥ずかしさに沸騰しそうになる程、顔が熱くなっているのが自分でも分かるようだ。



きっと真っ赤に違いない私を、瑠衣斗が小さく笑う。


そのまま抱きすくめるようにして、瑠衣斗の腕に力が入る。


大切に、優しく包み込まれながら、瑠衣斗の胸に頬を寄せた。


瑠衣斗はそんな事言いながらも、結局はいつも何もしない。


本当に今の時間を、こうして大切にしてくれているんだ。
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