あおぞらの声
第一章

路上の歌声



初めて信じたのは「音楽」だった。

音楽に嘘はなかった。

その音を奏でれば、そのとおりに奏でるから。

楽器に、嘘はないと、信じていた。



………大好きな音楽を聞いてるときが幸せ。


奏でるときも幸せ。


どちらにしても幸せだけど、自分の音を聞くのはもっと幸せ。


慣れてないときでも、自分の音を聞くのが、幸せだった。

だって、「自分」になれている証拠のようだったから。





  無数の星 ちりばめて

  夜空輝かせた

  自分を見つける
 
  力無くしたから


  こうしていたら

  見ていられた

  「自分」をずっと

  このときだけ

  真剣に見つめられていた
 
  気が したんだ


  …ねぇ?いつかきっと

  こんなことしなくても
 
  「自分」を見れる日が

  来るはずだよね?きっと

  大好きなこと

  幸せと感じる 一瞬

  どんなにつらくなっても

  忘れない……… melody…




スゥ………



喉が痛い。だけど、スカッとして気持ちいい………



 こんな感じで、路上で歌ってるけど、客なんてこない。

分かってる。分かってるんだけど、私はそんなの気にしない。


だって、別に客を呼ぶために、歌ってるんじゃないから……



そう思っていた瞬間だった。




     「いいですね」


という、声とともに、拍手が耳に入ってきた。
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