魔法の言葉
今日は学校でもらった手紙などを届けに来てくれたみたい。

「わざわざ、ごめんね。」

「いつものことでしょ。
気にしないで!」

「ありがとう。」

今日は用事があるらしく、いつもは少し

話してくのだがじゃあね、と言って病室から
出ていった。


あたしは、愛佳が出ていったドアを見つめていた。

愛佳が出ていくと決まってこうして見てしまうのだ。
自分では意識してない
つもりでも、

心のどこかで寂しいと思っているのかもしれない。

〈かもしれない〉と

不確かなのは、きっと寂しいと認めたくないから。


寂しい、

って言えばきっと愛佳は
自分のことを
後にしてでも一緒にいてくれる。

そんなこと言えないんだけど。

ただ強がってるだけ。

多分、愛佳は気づいている。

でも気づかないフリ
してくれてる。


…優しいから。
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