ため息に、哀

今、高橋先輩は女バスのキャプテンと話している。

練習を見ながら、指をさしたりパスをする真似をしながら、真剣に。

キャプテンはそれを頷きながら聞いている。


マネージャーが練習の指導?

しかも隼人先輩を尻に敷き、あの般若のような顔をする女バスのキャプテンが素直に意見を聞いている。

何者なんだろう、高橋先輩は。



バスケみたいな野蛮なスポーツしたことありません、みたいな清楚な見た目なのに。

いつも強い瞳でコートを見つめている。

ただ見ているだけじゃないのは、その表情からわかる。


部員たちの気持ちを読んでいるかのように、いつも先回りして気を利かせてくれる。

どうやったらあの仕事量、ひとりでこなすことができるんだろう。

要領がいいとかの問題じゃない。




それが、俺が高橋亜美という人物に興味を持つようになったきっかけだった。



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