ため息に、哀
先輩が使っていたのは、俺があげたタオル。
俺が鼻血で駄目にしてしまったものの代わりに返したものだ。
雑貨屋で、似たようなタオルと、キャンディの入った籠を持ったクマのぬいぐるみを買った。
タオルだけでなく、迷惑料とか感謝とか、そういう意味も込めたプレゼントまで買うのは、かなり恥ずかしかった。
しかも渡すタイミングに悩んで毎日学校に持ってきているうちにラッピングが崩れかけて、勇気を振り絞って教室まで渡しに行ったんだ。
改めて考えると、よく二年生の教室になんか行けたよな、俺。
完全にアウェーなのに。
部活前とか後にこっそり…って考えられなかったのか。
性格的に落ち着きがないわけじゃないけど、どうしても冷静になれないことが多い。
みんな、誰かを好きになるとこんな風になるのかもしれない。
冷静になれなくて、カッコ悪くて。
大人になれば、恋愛もスマートにできるようになるのかな。
スーツを完璧に着こなした俺が、余裕の笑みを投げてくるのがまぶたの裏に見えた気がした。