あわ玉キャンディ


どっかお店を貸し切りにして、パーっといきたいところだったらしいけど

ビンボー大学生だから、仕方ないよね。


少し歩くと、楓の家に着く。

いつ来ても、おっきいなぁ......。



玄関にはざっと見て20足くらいのパンプスやら革靴やらが、キッチリと揃えられている。

さすが青大生。

いつもはパっと脱ぎ散らかすウチの大学のダメダメ女子にも、ヒールやらパンプスを揃えさせてしまう。


きっと、中でキャーキャー騒いでるんだろうな...

とか考えるまでもなく、リビングから女子の色めき立った声が聞こえた。



「買い出し係、とうちゃーく!」

「サンキュー! 悪いね、楓、和花。」


いつもはお菓子に飛びつく勢いの女子たちが、飛びついてこない。

リビングの真ん中で何かに群がって、我先にと押し合い圧し合いしてる。



「彼女とかいるんですか!?」

「教えて下さいよぉー、......キリサキさん!」



――――――――――え?

そんなに大きな声ではなかったけれど、あたしの耳はその単語を洩らさずキャッチした。





< 186 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop