あわ玉キャンディ
「言い忘れてたけど...、実は来てるんだよねぇ~!」
いたずらっ子みたいな口調の楓の声が、なぜか遠くに聞こえた。
あたしの視線は、女子のカタマリで静止してて。
その中から、掻き分け掻き分けしてひょっこりと現れたのは――。
「...やっぱり、和花じゃないとムリ。」
じわりと涙が滲んだ。
――逢いたくて、
逢いたくてたまらなかった人。
愛しくて、
愛しくて仕方なかった人。
あたしが、愛してやまない人。
ずっと...、願ってた人。
「まだ、俺のこと好き?」
ひさしぶりに、
感じる体温は、変わらずあたたかくて。
ぎゅっと抱きしめる腕の力も、変わらず優しい。
夢じゃない。
まぼろしじゃない。
ずっと、ずっと、こうしたかったよ......。