難しい恋は遠慮させてください
私は顔を上げて万遍の笑みで伊島先輩を見上げた。

「ありがとうございます!」

伊島先輩が固まる。

目を見開いて、私を見つめている。

今思えば、少し顔が赤かったかもしれない。

私はもう一言付け加えた。

「大切に使いますね!」

「うっうん…」

私の笑顔はまだ先輩に向けられている。

そこに石川が来た。

私と先輩の顔を唖然とした顔で、交互に見た。

なんだよコラ?

ケンカ売ってんのか?

「リオ帰るよー!」

愛美の声にはっとして、バックにスティックを突っ込んで愛美を追い掛けた。

「リオなんか機嫌いいね。何かいいことあったの?」

「えへへー。伊島先輩からスティックもらっちゃった!」

「えっ!リオ…それって」

なんかこのパターン前にもあったような…

「やっぱ先輩リオのことが好きだったんだ…。仮入部の時から見てるとは思ったけど…」

ハイハイハイー!

また身に覚えのない話が出てきちゃったー!

混乱するからやめてねー?

もうスルーするからね私!

「なわけないでしょ!とりあえず、迷子になる手間がはぶけてよかった」

「リオ、冷たいねー。喜んでたのはそれが理由か…」

「もち!」


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