難しい恋は遠慮させてください
そういえば伊島先輩に会うのは球技大会以来だな…

まぁ、球技大会の時は先輩私に気付いてなかったけど…

誰もいない部室をのぞいてそう感じた。

先輩部活に絶対来るし、髪型気付いてもらえるかな?

「リーオっ!お弁当食べよー?」

「あっうん!」

私は教室に戻った。

愛美と二人で話ながらお弁当を食べていると、部室の方から物音がした。

「もう先輩たち来たのかな?」

「準備始まってるかもだし、私見てくるね!」

私はお弁当を机に乗せて、走りだした。

「あっ!私もいく!」

愛美もあとからついてきて、部室のドアの前で顔を見合わせた。

「あっ…開けてよ?」

「愛美があければいいじゃん」

なぜかいきなり緊張する二人。

「リオが…」

「もういいよ!私があける!」

ガラッと音を立ててドアが開くと中には一人しかいなかった。

「伊島先輩来るの早くないですか?」

そう。中にいたのは伊島先輩。

「なんかドラムたたきたくて早く来ちゃった。」

先輩は照れたように頭を掻いて目をそらした。

部活が始まるのは一時から。

今はまだ十二時。

早すぎる…

先輩を見ていると横目でちらちらと私を見ているのが見えた。

私はずっと前の愛美の言葉を思い出す。

まさか…ね…?
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