楽園の炎
黙ってしまった朱夏に、ユウは少し考えてから、努めて明るく言った。

「皇太子が俺を死罪にするなら、俺の命数は、それだけだったってことだよ。それより、頼みがあるんだ」

唇を噛む朱夏を宥めるように優しく言って、ユウは話題を変えた。

「憂杏に言って、市にある俺の店を、片付けて欲しいんだ。馬もそこに繋いでるから、放してやってくれ。店にあるものは、好きにしてもらっていい。憂杏なら、役に立つものもあるだろう」

「やだよ、そんな・・・・・・。まるで、いなくなるみたいじゃない」

目が熱くなる。
また泣きそうになって、朱夏は口を閉ざした。
少し真剣な表情で、ユウは、朱夏の肩に手を置いて続ける。

「頼むよ。それと、店の天蓋の中に、朱夏に渡そうと思ってたものがあるんだ。前に朱夏の部屋に忍び込んだときに、布を借りただろ。あれを、ちょいと変えて外套にしたんだ。きっと、朱夏に似合うと思う。後は留め具に使う石を選んでもらおうと思って、あの夜また朱夏のところに行ったんだけどね」

そういえば、ユウに被せた布のことなど、すっかり忘れていた。
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