楽園の炎
「あの・・・・・・葵王様は、わたくしを、どう思ってらっしゃるのかしら」

「可愛いって、言ってますよ」

「えっと、そうじゃなくて・・・・・・。う~ん、何て言ったらいいのかしら。葵王様は、今回のお見合いに、乗り気でらっしゃるの?」

これが昨日、葵が言ってた質問かなぁ、と思いつつ、朱夏はナスル姫を見つめた。
下手なことは言えない。

「ナスル姫様は、どうなんです? 葵王と、結婚したいと思っているのですか?」

逆に聞き返した朱夏に、ずいっとナスル姫が乗り出した。
別に他に人はいないが、ぐっと声を潜める。

「それなのよ。初めはそのつもりで来たんだけど。それで、思った通り、葵王様は申し分のない、素晴らしいかただともわかったんだけど」

「結婚となると、違うと?」

葵が言ってた通りなのかな? と思い、朱夏はすかさず言葉を続けた。
だがナスル姫は、ぶんぶんと首を振る。

「そうじゃないのよ。葵王様は、期待以上のかただったわよ。葵王様に、落ち度は何もないの。でもねぇ、わたくし、ここ数日で、とってもとっても心惹かれる殿方に、出会ってしまったの! 初めは何とも想わなかったのだけど、どんどん惹かれていくのに、気づいてしまったのよ!」

頬を紅潮させ、一気に言い終えてから、ナスル姫はいきなり机に突っ伏した。
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