楽園の炎
朱夏の衣は、元々が短い。
普段着もそうだが、夜着も同じく、膝上までしかない。
ちょっとめくれば、かなり危険だ。

「ん・・・・・・やっ」

唇を離し、下を向いた瞬間に、今度はうなじに口付けされる。

「んあっ!」

感じたことのない衝撃が走り、朱夏は叫んで顎を反らせた。
その隙をつかれ、夕星の唇は、耳元、首筋、胸元へと移動する。
そして手は、朱夏の腰を撫でた。

「~~~っ」

最早声も出ない。
朱夏は息を呑むばかりで、どうしていいのかわからず、ただ抱いた夕星の頭に顔を埋めた。

夕星の手は、衣の中にあるのだ。
素肌の腰を撫でられ、朱夏の震えは大きくなる。

と、不意に夕星が身体を起こした。
朱夏の頬に軽く口付け、にこりと微笑む。

「ここまで。これ以上は、自制が利かなくなりそうだ」

荒い息を吐きながら、朱夏は潤んだ目でぼんやりと夕星を見上げた。
少しめくれ上がった裾は夕星が直してくれたが、下半身に力が入らない。

「迎えるって・・・・・・こういうこと?」

ぼんやりと言う朱夏に、夕星は微妙な顔になった。

「こういうことって? これで終わりではないぞ。まだ序の口。っていうか、ほんとに朱夏、侍女殿によっく聞いておけよ。わかってるとは思えん」

ぽん、と腰を叩かれ、朱夏はきょとんとした。
まだあるの? とでも言いたそうだ。

夕星は胡乱な表情になり、朱夏の頭をわしわしと撫でた。
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