楽園の炎
いくら兵士並の稽古をしようと思っても、侍女らだけでは勝手がわからない。
そこで、同じようにナスル姫付きの兵士に、手ほどきを頼んだのだ。

ナスル姫付きの兵士とは、夕星が自分の近衛隊から選んだ生え抜きだ。
近衛隊は夕星に忠誠を誓っている分、アリンダを毛嫌いしているし、ナスル姫についている理由も、姫をアリンダより守るためだ。
侍女らの願いと一致している。

「初めは全く型式などもわからなくて、兵士らに無用な傷をつけてしまったりしておりましたから」

ほほほ、と笑って誤魔化すラーダに、後ろの侍女らも同じように笑って誤魔化す。

「でも今では、随分上達したのですよ。全員、というわけにはいきませんが、何人かは近衛隊のかたにも褒められるほどで。さすが、夕星様直属の近衛隊だけに、教え方も上手ですわ」

「わたくしが今、この中では一番強いのですよ」

侍女の一人が、顔を上げた。
少し肉付きが良く、体格の良い侍女だ。

「だからレダ、妙に鍛えてたのね。アルファルドに来てからも、気づいたらその辺を走ってるんだもの。何やってるのかと思ったわ」

ナスル姫が、体格の良い侍女に笑いかけた。
侍女は、レダというらしい。

「でもこれからは、姫様は憂杏さんにお任せできますから、今後は朱夏様をお守りさせていただきますわ」

レダはそう言ってにこりと笑い、朱夏に頭を下げた。
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