楽園の炎
「皇帝陛下も、お喜びだったでしょう? 我々が到着する前から、お部屋のことでも気をつけていらしたようですし。夕星様のご結婚を、皇后様共々喜んでいらっしゃいます」

「そうだ。朱夏、部屋はどこなんだ?」

夕星が、身を乗り出す。
彼も知らないようだ。

「そういえば、皇帝陛下とか皇后様が気を遣って、奥に用意してくれたって聞いたけど・・・・・・」

どこ、と言われても、まだ城内の位置関係が全くわからない。
今一人で帰れと言われても、間違いなく部屋には辿り着けないだろう。

あ、と朱夏は部屋の中を見回した。
気づけば、部屋から晩餐会の大広間までついてきてくれていたセドナたちの姿がないではないか。
夕星がいるから安心して、あまり何も考えずにここまで来てしまったが、今ここにいる者たちは、誰も朱夏の部屋を知らないのではないか?

「わわっどうしよう。あたし、自分の部屋もわかんないのに、セドナさんたち置いてきちゃった」

慌てる朱夏に、ラーダが、ほほほ、と笑った。

「大丈夫ですよ。わたくしも、先程セドナ様からお聞きしております。それに、ちゃんと迎えの者が来ておりますよ。この城の中で、朱夏姫様がお一人になられるようなことは、まずありません」

「で、どこなんだよ」

じれったそうに言う夕星に、ラーダはちろりと冷ややかな目を向ける。

「・・・・・・今はとりあえず、皇后様のお部屋に程近い、後宮の手前ですわ。夕星様と正式にご結婚されれば、奥宮に移ってはどうか、とのことです。それまでは夕星様、朱夏姫様のお部屋に忍び込むようなことは、お控えくださいよ」
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