楽園の炎
それから十日ほど経ってから、朱夏は夕星と、近衛隊を率いて馬上にあった。
「ねぇユウ。あたしも自分の軍馬、欲しいなぁ」
朱夏の愛馬はコアトル知事に預かってもらっているため、今は夕星の軍馬に、彼と一緒に乗っている。
夕星の軍馬は、朱夏の軍馬よりも一回りほど大きい、月毛の馬だ。
「やっぱり軍馬は、しっかりしてるし速いわね」
撫で撫でと鬣(たてがみ)を撫でてやると、ぶるるん、と鼻を鳴らす。
「この子も、いっつも二人も乗せるのは、しんどいでしょ?」
言いながら背後の夕星を振り向いた朱夏は、思わずぎょっとした。
夕星が、怒ったような顔で見下ろしている。
「良いじゃん。俺と乗るの、嫌なの?」
子供のような理由に、朱夏は眉をハの字に下げて、夕星を覗き込んだ。
「そんなわけないじゃん。ただ、いっつもユウに乗せてもらうのも不便かなぁって」
「何が? 大体、普通の姫君なら、まず軍馬になんか乗れないんだから。普通は軍馬を欲しがる前に、輿だぜ?」
げ、というように、朱夏の顔が引き攣る。
その表情に、夕星は、ははは、と笑った。
「ねぇユウ。あたしも自分の軍馬、欲しいなぁ」
朱夏の愛馬はコアトル知事に預かってもらっているため、今は夕星の軍馬に、彼と一緒に乗っている。
夕星の軍馬は、朱夏の軍馬よりも一回りほど大きい、月毛の馬だ。
「やっぱり軍馬は、しっかりしてるし速いわね」
撫で撫でと鬣(たてがみ)を撫でてやると、ぶるるん、と鼻を鳴らす。
「この子も、いっつも二人も乗せるのは、しんどいでしょ?」
言いながら背後の夕星を振り向いた朱夏は、思わずぎょっとした。
夕星が、怒ったような顔で見下ろしている。
「良いじゃん。俺と乗るの、嫌なの?」
子供のような理由に、朱夏は眉をハの字に下げて、夕星を覗き込んだ。
「そんなわけないじゃん。ただ、いっつもユウに乗せてもらうのも不便かなぁって」
「何が? 大体、普通の姫君なら、まず軍馬になんか乗れないんだから。普通は軍馬を欲しがる前に、輿だぜ?」
げ、というように、朱夏の顔が引き攣る。
その表情に、夕星は、ははは、と笑った。