楽園の炎
「それなのですが・・・・・・。今は大祭期間中ですし、皆浮かれているところに、元皇子とはいえ罪人を引っ張り出すわけにはいきません。奴は塔守の力で縛られていますが、だからこそ、民の怒りが一手にあいつに向くかもしれませんし」

「失礼ながら、アリンダ様の素行の悪さは、有名ですからな」

町に人が溢れる大祭の中を進むのは、避けるべきだということだろう。

「でも大祭も、今年は俺たちの結婚式がメインですので、それが過ぎれば民も徐々に普段の暮らしに戻ります。まぁ、塔は町とは逆の方向ですし、おそらく大祭の式典内で、アリンダの皇子の位剥奪は、神殿でも宣言されるでしょうけどね」

「そうですか。・・・・・・皇帝陛下のご英断に、感謝します」

炎駒が、夕星に頭を下げた。
それを受け、少し重苦しくなった空気を払うように、夕星はぱん、と大きく手を打った。

「さあ、ではもう暗い話はやめにしましょう。そろそろ時間だ」

そう言って立ち上がり、朱夏の手を取る。

「では炎駒殿。神殿でお待ちしております」

立ち上がった二人に、桂枝が扉を開ける。

「じゃあ父上。桂枝も、後でね」

炎駒と桂枝に笑いかけ、朱夏は夕星に連れられて、神殿へと向かった。
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