まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


まだ外が暗いうちに、私は目を覚ました。


四、五秒であろうか、そっと耳を澄ましてみたのだが、何も聞こえない。集音系統のパーツに不具合があるのではないかと思うくらい、音のない静かな朝であった。


起き上がると、窓から外の様子を窺うことができた。辺りは雪の白一色で塗りつぶされている。そして空からは、暗い朝を埋め尽くすように、止めどもなく雪が舞い落ちてきていた。



< 2 / 71 >

この作品をシェア

pagetop