まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


池に降った雨が、だいぶ小降りになってきたようだ。気の早い蛙は、もう外へ出て鳴き始めているではないか。私もそろそろ餌を探しに出ても良い頃だろう。


……いや待て。私は何をしているのだ。そうか、これは夢か。私はザリガニになった夢を見ていたのだ。


「どうしたんですか?」と聞かれたら、「私はザリガニになって、池の棲処の奥の方で小さく体を折り曲げて、雨の通り過ぎるのをじっと待っておりました」と答えればよい。


たったそれだけのことだ。


    *    *    *



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寒い寒い冬の日。 金属の格子で作られた檻が、通り道の家の軒先に置かれていた。檻の周りには、ひと粒ふた粒のドッグフードが転がっている。 そのひとつめを慎重に調べてから口に入れてみたところ、舌のとろけるような肉の味がした。丸二日間、何も食っていないのだから、余計にうまいと感じる。 今度は檻の中にあるやつを食べようと思い、入り口付近のやつを幾つか食べ、さらに檻の奥へずいと頭を突っ込んだところで、いきなりガシャンという大きな音がした。 それは、人間の仕掛けた捕獲檻というやつであった。 ばかな私は、こうして人間に捕らえられてしまったのである。

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