モテ彼×ブキヨウ彼女


「半年くらい前に、駅の階段で思いっきり転んでたでしょ?

派手にバターンって。

しかも鞄の中身、全部ぶちまけてるし(笑)」


「……あ」


そう言えば、確かにそんなことがあった。



あれは、コケ女王と呼ばれるあたしの中でも歴代1位、2位を競う程の転び方だったと思う。


遅刻ギリギリで焦っていたにも関わらず、その日提出厳守のプリントを忘れたことに気付いたあたしは、慌てて引き返そうとした。


その時に勢い余って躓いてしまったのだ。


転んだことの痛さよりも、恥ずかしさの方が勝ってて。


素通りする人たちの目線が痛かったのを覚えている。


確かそんなあたしに心優しい男の子が荷物を拾って渡してくれたんだよね……。


「…そんなとこ、見てたの?」


思い出しただけでも、恥ずかしさが込み上げてくる。


「うん…それが初めて。

その後何となく気になって…

いつも同じ電車に乗ってたんだよ?

そしたら…」


そこまで言うと、神崎君は突然口元を押さえた。


バレないようにしたつもりだろうけど、あたしには分かる。


この男…
また笑ってるっ!!





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