モテ彼×ブキヨウ彼女
―――――え?
ゆっくりと近づいてくる神崎君の顔に、
あたしは身動きが取れない。
「ちょっとだけ、目閉じてて?」
そう言う神崎君の瞳に、今にも吸い込まれてしまいそうで。
流れに身を任せながら、あたしはそっと、瞼を閉じる。
心の中は、
ドキドキでいっぱいだった。
だって、この状況。
これって、もしかして…
もしかすると…。
キ……
「はいっ取れた!
目、開けていいよ」
「……………へ?」
頭上から聞こえた神崎君の声に、
驚いたあたしは、ひょっとこみたいな口のまま目を開ける。
すると、神崎君が目の前に指を差し出した。
「ほら、睫毛。
一本だけ抜けて、目に入っちゃいそうだったから」
よく見ると、その指には、
あたしの短い睫毛が、ちょこんと乗っかっていた。
一瞬…
キスするかと思ったんだけどなぁ…。
安心したような…、
残念なような…。
なんだか、すごく
複雑な気持ち…。