Hello my sheep
「ダイちゃんが…寝てる…」
たび重なる突然の事態に追いつかなくなっている八鹿と、熟睡する少年を交互に眺めていた少女が呟き、八鹿は少年の知り合いらしき少女にも戸惑いの視線を向ける。
「あれ?…えと…え~と?」
この状況をどうすればいいのかわからない。
「えっと、大丈夫?」
八鹿の視線を受けた少女が、おそるおそるといった様子で手を貸して来る。
「大丈夫~ありが…」
手を借りようと手を伸ばそうとする、が、少年の腕の中にある腕は力を入れても抜けない。
「ちょっと、大丈夫なの!?」
「私は大丈夫なんだけどー…」
階段の上にいる八鹿にぶつかった張本人とその連れは、一連の事態に動けずにいたが、奈緒が三人の元に駆け下りていくと我に返り、先生を呼んでくると言い残し慌ただしくその場から離れていったようだった。
八鹿はひとしきり力んだ後、へろりと二人に笑ってみせた。
「えと…動けない…かもぉ」