独身マン
それ以来、正義はやたらとさえが気になりだした。


「ココにチェック入れてくれます?」

英は丁寧にさえを指導する。


「はい」

さえは拓也と話しているときと違って大人しい。 多分、おっとりとした英に合わせているのかもしれない。


だけど、心のモロイさえにとって、ゆったりと優しい時間が流れるほうが好ましかったのだ。
シンプルに会話をする英とさえは、回りから見ていてもお似合いだった。 それにどこか二人は似ている。



「ねー、ねー。 あの二人(英とさえ)、すごい怪しくない?」


ある日、さえと英が休憩に行ってしまうと、あかねが美紀子にボソッと言った。
正義も聞き耳をたてる。


「うん、なんか、私もそう思う」


「付き合ってるのかな?」


「それはないと思うよ」


「でも絶対、付き合いそう」


「今度さー、みんなで食べに行って聞き出さない?」


「あ、おもしろそう」


だけど正義は認めたくない。


(さえちゃんは拓也と話してるほうが楽しそうじゃん!)
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