独身マン
正義は隣の英に話し掛けた。


「いやぁ、またまたこれはー、個性の強い子が来たねぇ」


「そうですね」

と笑っている英の向こう側で、さえもにこにこしながら正義を見ていた。


(あー、そうか。 あの子、英の隣に移動したんだ)



―ドキどきドキどき―



正義は今、猛烈にドキドキしている。
そのさえの笑顔は、まるで自分だけのものに思えた。



よく考えればこの一ヶ月以上、自分とさえはなんの接点などなく、まともに顔を見合わせたこともなかった。



微笑んだままのさえは、また仕事に戻る。 下を向いてしまった。



「・・・」


さえは茶色い瞳のせいか、妙な色気がある。
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