【短】尽忠男
「しつこいし、諦め悪いけど、もう一回言わせて!」


「慶二…?」


スーッと大きく息を吸い込む。


「志維が好き!」


今度はちゃんと目を見て話せる。


この俺の気持ちが志維に届きますように。


「志維が誰を好きでも、この気持ちは変わらない!うっとうしくても、俺はずっとずっと志維から離れない!」


気持ちを言葉にして伝えるだけで、心が軽くなる。


「……ほんと、うっとーしい。ウザい」


ボソッと志維が呟いた声も、一言も漏らさないように聞き取る。


「慶二のバカ!アンタみたいなめんどくさい奴、好きにならない方が無理だっつーの!」


ん…?

空耳…?


パンッ


痛い。

夢じゃ…ない?
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