獅子の生きる道
魔王が共同などという言葉を用いる事自体に違和感を感じる。

「よく争いがないものだな」

「大国では今のところ静かなものよ」

「小国では争いがあるという事か」

「そうね。ここも、いつ戦場になるかわからないわよ」

魔族も人間もやる事は同じか。

「悪くねえな」

剣の柄を握る手の力が自然と強くなる。

魔界という場所が人間界よりも退屈しないのであれば、来た事に意味はあったといえる。

「あなた変わってるわね」

半眼で俺を見ているのだが、お構いなしだ。

「そんな事よりも、その三体の魔王っていうのを教えろ」

「お客さんにも礼儀っていうものは必要なのよ?」

「そうかい、で、情報は渡す気はないんだな」

「あなたのほうがよっぽど魔族っぽいわ」

ため息を付いた後に語り始める。

「まずは、ジョヴァンニ様ね、とても冷酷で呪術を持っている。でも、三国の中ではどっちかといえばレベルが低い部類に入るかな」

「そうかい」

最初にジョヴァンニが狙い目か。

「次にルーミ様。この方は魔王だけど、この近辺じゃアイドルで通ってるの」

「アイドルね」

「ルーミ様の傍にはミレイっていう騎士がいて、一筋縄ではいかないわ」

「そうかい」

相手が騎士なら、変な魔法も使わずこちらとしてもやりやすい。

「最後が、アルエ様。三国の中でも桁抜けて強い。従者はいるものの、敵と対決する時は自分から出ていくの」
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