“スキ”を10文字以内で答えよ
「すっげーな。成績優秀な奈神がこんな小説書いてるなんてな」
笑みのあとに続く言葉は、普段の彼からは考え付かないようなもの。
口調が違う。
そんな事、今はどうだって良いのに。
「これ、何て言うの?官能小説とか?」
意地悪そうな笑顔を浮かべながら、さらに追い詰めていこうとする。
バレた。
私が官能小説を書いていると云う事が。
しかもこの男に。
最悪だ――。
「奈神ー?聞いてる?これ、お前が書いたの?」
奴はつい先ほどまで私が書いていたはずの原稿を、目の前でヒラヒラとさせている。
彼に原稿を読まれてしまった時点で、もう、何もかもが終わりだったんだ。
寝てしまった私が甘かったのだ。
これは、全部、私の甘さの所為。
「私が書きました……」
退学にするのなら、すれば良い。