“スキ”を10文字以内で答えよ



「すっげーな。成績優秀な奈神がこんな小説書いてるなんてな」




笑みのあとに続く言葉は、普段の彼からは考え付かないようなもの。


口調が違う。




そんな事、今はどうだって良いのに。





「これ、何て言うの?官能小説とか?」




意地悪そうな笑顔を浮かべながら、さらに追い詰めていこうとする。







バレた。


私が官能小説を書いていると云う事が。

しかもこの男に。




最悪だ――。






「奈神ー?聞いてる?これ、お前が書いたの?」



奴はつい先ほどまで私が書いていたはずの原稿を、目の前でヒラヒラとさせている。





彼に原稿を読まれてしまった時点で、もう、何もかもが終わりだったんだ。




寝てしまった私が甘かったのだ。


これは、全部、私の甘さの所為。







「私が書きました……」





退学にするのなら、すれば良い。


< 19 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop