ジュリアン・ドール
目を開いた時、ただ本能のように、その意志だけがはっきりとしていた。



過去に侵した幾つもの罪も、そしてこの場で起こったはずの事件が、まだ何も起こっていない過去の時間と繋ぎ合わされたように流れ始めた。



娘は足下に落ちていたソープリリアの花束を手に取って立ち上がった。傍に転がっている無残な亡骸は、全く目に入っていなかった。


そして、冷たい風が吹きつける、暗くて寂しげな夜道を、娘は再びベルシナへ向かって歩き始めていた。切り傷だらけの痛ましい素足のままで・・・・・。
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