恋心



「遅くなってごめんね、相原さん!本当にありがとう」



その時、サトミさんが現れて。



「あっ、いえ。結構あたしテンパっちゃったりして…何かミスがあったらすいません!」



カウンター内でそんなやりとりをしていると、あいつがリュウという人にボソッと何かを耳打ちしているのが見えた。



「マジか⁉」


そして、聞こえてきたその声に頭は反応するんだけど。

サトミさんとの話の方が大事だったから、ヒソヒソ話す声が全然聞けなかった。




あいつ…何言ってるんだか。


サトミさんにカウンター業務を引き継いだあたしは、トレーを持つとゆっくりとカウンターから出ていく。



そして…


無視!!


フル無視!


まるで空気かのように、あいつの横を通り過ぎた。


無視無視。

見えない、聞こえない、いないいない。


そう思いながら、黙って部屋の片付けに向かった。


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