恋心
「じゃあまたいい女いたら紹介してよ」
だけど、歩きながら聞こえてきたリュウという人の声。
なんだ、あのイケメンもやっぱり遊び人なわけか…そう思いながら呆れてしまったあたし。
だけど…
「あ、いるいる。同じの高校の女なんだけどさ、顔はまぁまぁ可愛い方。紹介しようか?」
そう言った、あいつの声。
「マジ⁉紹介してくれよ!名前は⁉芸能人で例えたら誰に似てる⁉」
そしたらすぐに食いつくイケメン。
あたしは何だか嫌な予感がした。
「名前はナミ。芸能人で例えたら…グラビアアイドルのーー」
“パンッ!”
響いた鈍い音と、
ジーンと痛む手のひら。
「…ってぇーな!」
目の前には清原大雅がいて。
頬を押さえながらあたしを見下ろしている。
「最っ低!」
我慢できなかった。
気づいたら、引っぱたいてた。
「何が最低だよ」
「最低じゃない!ナミちゃんのこと何だと思ってるの!」
手を繋いでたじゃん?
ナミちゃん、あんなに嬉しそうな顔してたじゃん?
なのに…
「お前に何の関係があんだよ?ナミと仲良いわけでもないだろ」
最低。
最低最悪…
悪びれる素振りもない清原大雅の態度に、あたしは怒りを通り越していく。
そうだ、関係ない。
関係ない関係ない。
関わらない、関わりたくもない。
そして自分に言い聞かせると、そのまま黙って部屋の片付けに向かった。