恋心



季節が巡るのは早い。


ついこの間まで、桜が咲いていたはずのこの木も、今は緑一色。

見事に葉っぱだけのただの木になった。





「何か今日暑くね?」



俺が聞くと、
隣にいたテツがプッと笑う。



「まぁな、五月半ばだし。暑くもなってくるって」


そしてその隣からは、歩夢の声がした。



昼休み。

校庭のベンチに座る俺達三人。



「そっか、っつーことはもうすぐ梅雨か…嫌だよなーあのジメジメした感じ。なぁ?」


「そうだな」


テツの言葉に俺がそう答えた時。




「あーゆーむ!」


後ろから甲高い声が響いた。


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