未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「簡単すぎるだろ。早く答えてくれ」
じれったそうなジミーの声。クラスメイト達からの視線も感じる。
「はい、えっと……」
手もとの教科書に目線を落とす。
そして、辻之内が書いてくれた文章をゆっくりと読み上げた。
「これが、私の返事よ。あなたに従うわ、です……」
あたしが答えたその後で、少しの間を置いて満足そうにうなづいたジミー。
「いいねー、シンプルだけどエマの気持ちを上手に汲み取っているな。では、そのまま訳すとここは、」
そして黒板にチョークを走らせた。
あたしはそっと胸を撫で下ろし、ジミーがこっちに背中を向けるのを確認して辻之内に言った。
「……ありがと」