未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

授業は次の章に進んでいた。

辻之内が、少しだけ椅子を寄せてあたしの机に手を伸ばし、さっきの回答文の下にまたペン先を滑らせる。

少しして書き終えた彼が、椅子を元に戻してニッコリと微笑った。

その意味ありげな表情に下を見る。とそこには、


“これが私の返事よ。あなたに従うわ”


その下に↓と矢印が引っぱってあって、さらに下にこう記してあったんだ。


“時田の返事もこれでいい?” って。


それは “拉致していい?” の回答が “あなたに従うわ” でいいかってことで………。

その返事は “うん” でも “いいよ” でもいいんだろうけど。でも、声に出すのも文字で書くのも今は恥ずかしくて。

だから、辻之内の方を向いて親指と人差し指で作った〇(マル)を顔の前に掲げたんだ。


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